三月大歌舞伎夜の部(2006/03/13@歌舞伎座)

さて、タッチアップ問題で憤懣やるかたない気持ちを抱えたまま歌舞伎座へ。席に着いたらば、やけに揚げシュウマイくさい。周囲に中華のお弁当を持った人がいるんだろうと思って一幕耐えたが、二人椀久になってもまだシュウマイ。最後までシュウマイ。どうやら隣の人の足元に置かれた紙袋から漂ってくるらしい。観劇前のショッピングを楽しむのは自由だが、できれば匂いの強いお総菜は避けていただきたいものだなっと。

近頃河原の達引

十三世仁左衛門追善狂言。本当は泣きたいのに無理して明るく振る舞うって芝居は、ひとつ間違うととても臭くなることが多いと思う。我當がさすがだった。ただでさえ段取りがいろいろとあって大変そうな役なのに、表情やちょっとした仕草で妹思いな兄の気持ちが伝わってきて、こっちまで切なくなっちゃって、つられて泣き笑いな気分に。秀太郎の娘役って初めて見たんだけど、予想外に可愛らしかった。

二人椀久

なるほど、二人椀久と言えば富十郎雀右衛門って時代があったのね。でもって、どうやらカモメはそれに間に合わなかったってワケね。無念。富十郎の色気と自信に圧倒され、やけに元気で愛らしい亡霊菊之助に見とれたんだけど、やっぱり雀右衛門の可憐な松山を見てみたかった。

水天宮利生深川 筆屋幸兵衛

(おそらく)初めて見る壱太郎、とても丁寧に丁寧に芝居をする子だなあ。もう子役って年齢ではないようだけど大人でもないし。翫雀の息子かあ。虎之介といい、関西成駒屋は将来安泰ですなあ。って何キャラ。
そしてニヒルでない幸四郎ってのも(おそらく)初めて見た。要領が悪く時勢に乗りきれない、愚直と言っていい主人公が、こんなにハマって見えるとは思わなかった。殺すつもりで取り出した小刀で赤ん坊をあやしちゃうところ、サイコー。ついでに、「キチガイに刃物は危険ですから(だっけ?)」と、さらっと言ってのけるイヤホンガイド塚田さんもサイコー。
昼夜どちらかというと昼の方が楽しみだったんだけど、夜の方がおもしろかった。そんな歌舞伎座弥生興行。