三月大歌舞伎昼の部(2006/03/09@歌舞伎座)

kamome142006-03-09

吉例寿曽我

イヤホンガイドでは月が隠れたとか雲が晴れたとか解説してくれたけど、ほんの少し照明落とすとかしてくれると親切だし趣があるのになあと思った。がんどう返しが凄かった。上で決まっている二人はバランス取るの大変だろうなと思って見てたら、進之介がちょっとぐらり。うん、やっぱり大変なんだな。微動だにしなかった愛之助、エライな。愛之助といえば、白塗りの顔が仁左衛門に生き写しってくらいそっくりなのね。甥の進之介、息子の孝太郎よりも似てるって、どゆこと。公には秀太郎の養子ってことになってるけど実は……っていう事情が何かあるんでしょか。
第二場。あれだけ大勢がいっぺんに迫り上がってくると華やかで、どこ見ていいんだかキョロキョロしてしまうが、なんとなく視線は亀鶴に定まる。浅草以降気になってたんだけど、先月は東京にいなかったみたいだし。全然知らない役者さんだったので調べてみたんだけど、血筋から言ったらもっといい役がついても良さそうに思う。部屋子をしていたというわりに、富十郎の引き立てもなさそうだし。やっぱり父親がいないと大変だってことなのかしら。
などと舞台とは関係のないことを考えていたら、終わっちゃったよ、おい。

義経千本桜吉野山

艶やかな静御前とニヒルな忠信。東蔵イナバウアー福助がキレイだったのでいいや、他は、別に。

菅原伝授手習鑑〜道明寺

十三世仁左衛門十三回忌追善狂言。お祖父ちゃんの追善で、やっちまった孝太郎。姉の屍を前に「おまえには生き別れ」と口走り、即座に「おまえには死に別れ、父上には生き別れ」と言い直し。台詞をかむとか順序を間違えるとかと違って、死人と生き別れたと言い切ってしまうのって、きちんと役に入ってないってことだと思う。あー、びっくりした。せっかくお父さんが渾身の演技してるんだから、しっかりしてくださいな。
ところで、歌舞伎の特徴として「芝居は一カ所で行われる」ってのがあると思う。現代劇だと舞台上の一カ所でメインの芝居が行われていても、別のところで筋とは直接関係ない芝居や、時には関係ある芝居が、別の役者によって行われていることが多々ある。歌舞伎にはそれがないから落ち着いて見ていられると、これまで思っていた。が、この道明寺では、宿禰太郎が芝居をしているその横で、覚寿が立田の前を殺したのが彼だと気づく芝居をしている。歌舞伎でこういうパターンを見るのは初めてだったので、ちょっと驚いた。
仁左衛門は、えーっと、二枚目な天神様だなあと思いました、まる。