十二月大歌舞伎昼の部(@歌舞伎座)

神々しい

弁慶上使

侍従太郎が首を落とされるところでくすくす笑いが起きた。なぜ。
新悟くん、手でかっ。とても健気な少女ぶりで身長の高さはたいして気にならなかったけど、つい手にばかり目が行ってしまった。あの手の大きさと年齢*1、そしてたいていの子供は親より背が高くなることを考えると、これからどんどん長身になっていくと思う。この先女形を続けていく上で大変そう。
橋之助の弁慶、ちゃんと(失礼)大きかった。どうもわたしの中でこの人は優男のイメージが強すぎだったんだけど、先月国立の光秀とこの弁慶で、思い込みを捨てないといかんな、と思った。
おわさ福助。娘がすぐそこで死んでるのに、恋しい男の登場で我を忘れる。姫をやってもどこか崩れた感じの色気を感じさせる彼には、ある意味ニンなんでは?弁慶との馴れ初め話や再会の様子はすごく好きだったけど、娘の絶命後の悲嘆がなんだか少しとってつけた感じがした。

猩々、三社祭

先月の錦秋公演で「兄弟で比べられることには慣れてる」と言っていた七之助だが、二人並んで同じような振りで踊っているのを見ると、やっぱり気の毒になってしまう。三社祭はテンポが速いからまだいいけど、猩々では腰が決まっていないような、どこかフラフラと不安定な印象。勘太郎の重心がしっかりしているだけに、なおさら目立つ気が。幕が下りる時、肩で息をしている勘太郎に平然としている七之助という構図がおもしろかった。ひょっとしたら基礎体力というか持久力が、勘太郎より七之助の方があったりするのかしら、あんな細いのに。それとも力の入れ具合がそれぞれ違うってことなのかしら。

盲目物語

「昔の言葉遣い」に弱いため、歌舞伎ではたいていイヤホンガイドのお世話になる。これは現代語だから使わないでいいかなーと思ったが、とても効果的に原作を引用していて良かった。ただ、玉さんの琴に解説がかぶるのはいかがなものか。
原作がもう、とても大変非常に好きなので、誰がどうやっても何かしら言いたいことは出てくる。つか、誰がどうやっても構わない。ラストは涙を堪えるのに必死だった。弁慶上使同様、なぜここでと思うところで笑いが起きること数回。ひょっとして、端から笑う気満々で来ている人が多かったってことだろうか。
とりあえず、美人が怒ると迫力があるよな、と思った。

吉野葛・盲目物語 (新潮文庫)

吉野葛・盲目物語 (新潮文庫)

*1:わたしも手足デカイんですよ。でもって10代で鬼のように身長が伸びたんですよ。