寿初春大歌舞伎昼の部(2006/01/12@歌舞伎座)
坂田藤十郎襲名披露。約15年ぶりに3階で観劇。上方のお芝居に興味がないわけじゃないけれど、襲名ってことでチケットがお高い。好きでもない役者の襲名披露公演に20000円は苦しい。2等席が14500円ってのもなあ、席にもよるけど、だったら3階最前列か東袖がいいなあ。と、昼夜ともに3階で観ることにした。
鶴寿千歳では、優雅だわー美しいわーとオペラグラスでずっと時蔵を追っていたので、全体がどうとか梅玉がどうとか全然わからなかったり、夕霧名残の正月ではとにかくまた雀右衛門が拝めましたと安心したり、奥州安達原では福助が目を閉じたままなので少し欲求不満になりつつ吉右衛門の大きさにうっとりしたり、万才ではくねくねしてない福助もいいなーなんてさきほどの欲求不満が解消されたりしながら、曾根崎心中へ。
舞台演劇ってのは、男が女を女が男を演じたり、年寄りが若者を若者が年寄りを演じたりすることが珍しくない。特に歌舞伎の世界では、70過ぎの爺さんが「10代の娘です」と登場したらそれはもう10代の娘なわけで、突っ込みは許されない。実際のところ、お初の仕草は恋に一途な娘のそれであって、好みではないながらも無理なく筋に入り込むことができる。ただ、冒頭の「こんなにやつれて」といたわりあう、まん丸というかパンパンというか、むちむちな恋人達の場面は、笑っちゃいけないと思いながらもつい笑ってしまった。「実際は70過ぎてますけど10代の娘って設定です」はすんなり受け入れることができても、「実際はコロコロしてますけどやせ細った設定です」は非常に受け入れがたいわ。