十二月大歌舞伎昼の部(@歌舞伎座)

kamome142005-12-19

今月2度目の昼の部。まだだろうと思いつつもあわよくば、と筋書売場で「あの、写真入ってますか?」と訊ねたら「ませんっっっっ!」と怒られた。「まだです」とか「入ってません」じゃないんだよ。「ませんっっっっ!」だよ。何度も同じ質問されてるんだろうけど、そんなに怒らなくたっていいじゃん……。
さて福助のねっちょり感はさらにパワーアップし、新悟の手はやはりでデカく、勘太郎は相変わらず冴え、七之助の淀がとても良くなり、弥十郎はさすがにちょっとお疲れのご様子。
盲目物語、やっぱりもっと切実な感じが好みだな。特に、火の手が上がる城から逃れた弥市とお茶々のシーン、「お方さまの若い頃にそっくりだ」と弥市がお茶々にすり寄るところ。重い話を必要以上に重苦しくしないようにという意図なんだろうけれど、全体を通して「ここでは笑いを取る」という演出が少々鼻につく気がする*1。弥市のお市への想いが悲壮なほど強いが故に観客は同情を覚えながらもつい笑ってしまう、といった演出で一度観てみたい。
そうそう、前回のお茶々は彼女に懸想する弥市を振り切って花道を逃げ、後を弥市が追って行くという形だったと思う。今回は、お茶々が上手に去り弥市がその場に残される、というふうに変わっていた*2。「この非常事態に弥市ってばいきなり何を言い出すの。もうイヤ」と逃げ出すお茶々だったのが、「非常事態だは弥市はワケわかんないこと言い出すは、ああそれにしてもお母さまが心配。お母さまーーー!」と城に戻るお茶々になっていた感じで、こっちの方が説得力がある気がした。
そしてやっぱり今回も前回と同じく、美人が怒ると迫力が違うよなと思った。玉三郎、50代ってのが信じられない。

*1:もちろんそれが中村屋のカラーだとわかっているけれど。

*2:記憶違い勘違いだったらすみません。