八月納涼歌舞伎 第三部(2005/08/25@歌舞伎座)

串田歌舞伎は桜姫に続いて二度目。現代演劇慣れしている身には見やすくていいんだけど、それにしてもドタバタしすぎな気が。

  • 桜姫のときは橋之助丈がどうもピンとこなかった。4〜5年前に四谷怪談伊右衛門を見た時も同じように感じた。色悪よりも、こういう爽やかな善人が似合う。
  • 七之助の「空気を読めない天然のお姫さま」ぶり、ナイス。表情の乏しさを逆手に取った演出だったような。小刀を手に死にたがる姿に「……千寿姫?」と思った。
  • 7〜8年前に読んだ芝翫丈の本に「立役が向いているか女形が向いているかは、子供の頃の歩き方でわかる」とあった。「雅行は立役、隆行は女形と思っている人が多いが、自分は逆の見方だった」って。わたしも「多くの人」同様、勘太郎は立役のほうが好き。でも今回は勘十郎よりおとせの方が良かった。女ひとりであれだけの男衆相手に立ち回れるワケあるまい、いやカンタなら、って感じ。

中村屋というと良くも悪くも派手なイメージがあるが、この兄弟は生真面目な印象が強い。今は楷書の勉強中だろうけれど、お祖父ちゃんの洒脱さ(いや、映像でしか見たことないんだけどさ)のDNAが、この先いい具合に出てくるといいな。
しっかし雨乞狐を見た翌日に台風到来。七之助は野分姫。キレイにまとまったもんだ。